ゆるキャリママの暮らしの手帖

庶民派ワーキングママの雑記

麻酔注入!

クリニックに着くとコンシェルジュさんが出迎えてくれ、ほどなくして診察室に通された。

院長先生がすばやく内診する。「赤ちゃんだいぶ下がってきていますね。お産始まりますね。このまま入院しましょう」

えっそうなの。。「産まれるのは明日くらいですかね」「いや、早ければ今日の夕方にも産まれますよ」。えっほんとに!?

隣の部屋に戻ると先生が夫に報告していたところで、「産まれるってね」と夫もちょっと驚いたように言ってきた。

診察が終わるとコンシェルジュさんがいそいそと2階の個室に案内してくれた。

荷物を置いて分娩着に着替え、すぐに麻酔処置室に移動する。裸になって、台の上で膝を抱えて横になるように指示された。

腰に麻酔の管を入れるための麻酔を打つ。「歯医者さんの注射のようなチクッとした痛みがありますよ」と院長先生。

そう言われると腰に意識が集中しちゃうんだけど、一瞬チクーッと感じただけだった。

そのあとに子宮口を開くためのメトロを入れますよ~と入れられたんだけど、そっちの方が痛かったわ。先生、痛いよって言ってー。

 

無痛分娩の準備がひととおり終わると、個室の陣痛室に案内された。分娩室に入るまではここで待機する。

麻酔科医の先生が来て、麻酔の注入も始まった。

麻酔は、管の途中にボタンがあって、それを押すと麻酔が足されるようになっている。少しでも痛いと感じたら自分で追加してくださいと助産師さんが言っていた。

クリニックに着いてから1時間あまり。あれよあれよという間に準備が進められて、なんだか実感がわかない。

母親に電話して、「陣痛がきたので入院することになった。ていうか、もう入院している」と言うと、母も「産まれるのは明日の朝くらいかな」と言っていた。初産は時間がかかるものだと思うよね、だいたいは。

夫は仕事の引き継ぎをするために一度職場へ行って、午後にまた戻ってくることにした。

私はなるべく普段通りに過ごしたかったので、持ち込んだ雑誌を読みながらモニターで陣痛の波を観察して過ごした。

時おり助産師さんが来て、子宮口の開き具合をチェックしたり、尿を下げてくれる。

おしっこは陣痛の合間にトイレに行くのかと思っていたら、導尿での排せつだった。

それにしても昨日のトイレラッシュ。出産に向けて体が余分なものをどんどん外に出していたのかな。だとしたら人間の体って本当にすごい。

私もけっこうトイレで踏ん張っていたから、それで赤ちゃんが降りてきてしまったのかしら。。

 

お昼前、向かいの分娩室から赤ちゃんの産声があがって、歓声も聞こえてきた。今日1番目の赤ちゃんが生まれたらしい。

無事に産まれたんだなと思ったら、自分のことじゃないのに目頭が熱くなってきた。

助産師さんが気がついて「大丈夫?」と聞いてくれ、あわてて「産まれてよかったなと思って」と答えた。

昼すぎに院長先生が内診して、破水を確認。順調に進んでいるとのことだけど、陣痛促進剤を投与した。

実際には全然痛くないんだけど、陣痛促進剤も入ったし、痛くなる前に麻酔を追加しておこうとボタンを押した。

麻酔の効果は絶大で、お腹がぐぐーっと収縮して陣痛がきているのは分かるのに、まるで痛くない。

ところが午後になるとだんだん腰が痛くなってきて、助産師さんに相談するとすぐに麻酔の先生を呼んでくれた。

これも陣痛のひとつということで、腰の痛みを取る薬も投与してくれた。おかげで腰痛もなくなり、左腕の点滴が地味に痛いだけになった。

相変わらず陣痛はジャンジャン押し寄せている。なんか陣痛VS麻酔だな。私は傍観者のよう。。

お腹の収縮とモニターの波形の連動を観察しているうちに眠くなり、1時間ほど仮眠した。

 

夕方になって院長先生が再診し、子宮口がほぼ全開に近づいているので1時間後に分娩室に移りましょうと告げられた。

いよいよ分娩室に入る時が来た。ストレッチャーが運ばれてきてベッドに横づけされ、乗るように言われたんだけど、麻酔が効いて脚に力が入らない。

上半身を使って這うようにストレッチャーの上に移動する。ちょっとへとへとだぞ。これから産むってのに私大丈夫か?

夫は、私の希望で分娩室には付き添わず外で待機なので、ここでバイバイだ。

「頑張って」と一言だけの夫に、私も「はい、行ってきます」と答えた。

 

計画していながらいきなり出産前夜

仕事がちょっと落ち着いて余裕が出てきたので出産の話を。

 

東京マザーズでの出産は計画出産が基本だった。

臨月に入ると毎週健診があり、院長先生が妊娠の進み具合を確認する。

臨月に入ったばかりの健診では、出産が早まるかもと言われていた。

「仕事をしている妊婦は早産になりやすい」という思い込みをしていた私は「そら来た!」と臨戦態勢に入った。

ところが、次の健診でも、その次の健診でも、「あまり進んでいませんね」という診断。

「小さく産んで大きく育てる」は最近では時代遅れらしいけど、自分が小柄なので赤ちゃんがあまり大きくなると難産になるんじゃないかと、またもや不安になってきた。

区から支給された妊婦健診の補助券も尽き、血液検査があった日は万単位でお金が飛んで財布も撃沈。

コンシェルジュさんも「補助券終わってしまったんですねー。はやく赤ちゃん出てきてくれるといいですね」と同情してくれた。

当初の出産予定日を目前にした健診では、予定日より1週間くらい遅れるかもという診断で、つい先生に「大丈夫ですか?」と聞いてしまった。

子宮口がやわらかくなっていない状態で無理に進めると、お産が進まなくて結局帝王切開になってしまう可能性があると説明され、「自然に任せるということですね」と納得。

数日後の健診で、ようやく子宮口がやわらかくなってきたということで、4日後に入院し翌日に出産という予定を組んでもらえた。

入院と無痛分娩、硬膜外麻酔などについてあらためて説明され、無痛分娩では麻酔の影響で陣痛が弱くなることがあり、お産が進まない恐れがあるので陣痛促進剤も使うことをきちんと説明された。

 

その翌日、なんだか午前中からやたら快腸で、便秘も一気に解消されていた。

それにしてもよく出るな。。もう3回も出たよ。しかし、その後もたびたび便意がやってくる。

何度も何度もトイレに行って、それでもまだ出そうな感じがして便座に座りこむ。

回を重ねるごとにだんだん水っぽいのしか出なくなってきて(汚い話ですみません)、たまにお腹が下痢の時のようにキュ~ッと痛むようになってきた。

そして15時頃、またトイレに入った時にわずかな出血に気がついた。

えぇぇウンチ出すぎで出血!? いや。。。おしるしだ!

夫に「おしるし来た!」と言うと、夫も「えっ!」と反応し、二人でしばらくオタオタした。

事前にネットや本で調べていた情報では、おしるしはお産が始まる数日前に来ることもあって、おしるしが来たくらいで病院に駆け込むのは時期尚早みたいだ。

その日は祝日で、クリニックが休みだったこともあって、しばらく様子を見ることにした。

ちなみに、昼すぎに義両親と夫が二子玉川にいたのだけど、出産前の最後のお出かけ♪とか言って混んでいる街についていかなくて本当によかった。

 

夜になっても軽くお腹を下したような痛みが1時間に1~2回やってくる。

その時は「いたたた」となるんだけど、騒ぐほどではないし、しばらくすると痛みは引いてしまう。

お風呂上りに再度おしるしが来て、明日クリニックに電話しようと夫と話した。

布団に入ったけど、目が冴えて眠れない。そりゃそうだわ。

お腹の赤ちゃんは元気に動いているけど、胎動の合間にキュ~ッと痛みがやってくる。

深夜、それは30分おきからだんだん15分おきに、1時間に3~4回来るようになった。

これって、陣痛?

前駆陣痛っていうのもあるよね。我慢できるしなぁ。

とにかく、明日クリニックに電話した時に具体的に聞かれるだろうから、腹痛が来た時刻と1時間あたりの回数をメモしておこう。

その後も眠れず、横になっているより座っている方が気が紛れるので、早朝の情報番組が始まる頃にはテレビのある部屋に行って、テレビを見ながらメモに記録していた。

夫が起きてきて「産まれるのかもね。マザーズに電話したら?」と言われたけど、「もう少しで朝だから、8時くらいになったら電話する」と答えた。

正直言うと、駆け込んで急患扱いになって時間外費用がかかったら嫌というのもあった。

1~2時間ほど眠ることができて、目が覚めると8時を過ぎていたのでクリニックに電話した。

「昨日おしるしが来て、お腹が痛くなってきました」と伝えると、看護師さんを呼んでくれた。

看護師さんに「どんな痛みですか? どれくらいの頻度で来ますか?」と聞かれ、「お腹を下した時のようなキュ~ッとした痛みです。10分から15分おきに、1時間に5~6回来ます」と答えた。

確認してくるから少し待つように言われ、数分後に再び看護師さんが電話口に出て、これから入院の持ち物を持って来るように言われた。診察でお産がまだ始まらないと診断された場合は、帰宅してもらうこともあると補足もされた。

「朝食は食べない方がいいですか?」「そうですね。そのまま来てください」

身支度をしてから入院セットを持って夫がタクシーを拾いに行く。まだ自分で歩ける。

「結局まだ始まらないから今日は帰っていいですってなるかもね」なんて夫とのんきに話しながらクリニックに向かった。